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ダムカード・マンホールカード・灯台カード

 北海道を旅していた折,糠平湖畔の「ひがし大雪自然館」というところに寄ったら,ぜひダムを見学してきてくださいと言われて,糠平ダムのダムカードを頂戴しました。ダムカードは本来ダムを訪問しその写真を提示していただくものなので,順序は逆ですが,カードをもらった手前,ダムを見学し,雄大な景色を大いに楽しんできたのはもちろんです。

 ダムカードについてはその存在は知ってはいたものの,特に興味もなく,初めて実物を手にしたのですが,土木マニアにはたまらないものかもしれません。国交省の肝いりで始まった事業らしく2007年以来統一規格のカードが600種以上,その他規格外のカードも100種近く作られています。脱ダムなどと言われた世論の流れに対抗するものだったのでしょうか。詳細は国交省のHPを参照ください。国土交通省と水資源機構,一部の都道府県や発電事業者などダムを管理する団体が作成しています。

 ダムカードをモデルに,さまざまなカードが作られているらしいのですが,その中でもここ数年急速に数を増やし世間の注目も集めているのが,マンホールカードで,2016年の開始からわずか2年たらずで300種ほど,今後もどんどん増えていきそうな雰囲気です。マンホールカードの詳細はこちら。メンテナンスホール(マンホール)(の蓋ですが,以下煩わしいので省略)のデザインには興味を持っているのですが,マンホールカードというものはうさん臭く感じてしまいました。とはいっても全く知らないのも不本意なので地元のものを1枚だけ手に入れました。

 本来の機能には不要な蓋のデザインの多様性がもともと注目されてきた経緯があるのでちょっと他とは事情が異なり,今更カードで人気を煽る必要もないような気がします。メンテナンスホール(マンホール)のデザインは基本的に下水道を管理する自治体によるものなので,マンホールカードも自治体ごとのものなのですが,なにやら自治体同士の見栄の張り合いみたいな形相を呈してきて,見映えのいいカードを作るために新しいデザインのメンテナンスホール(マンホール)を(一つだけ)設置するなどという,本末転倒な現象も引き起こしています。地域に密着した素敵なデザインをカードにしないで思いつき任せのゆるキャラのカラー蓋とかをカードにしたがるのはいかがなものでしょう。カードを集める方も実際のメンテナンスホール(マンホール)はそっちのけでカードを集めること自体が目的になり,メンテナンスホール(マンホール)をもっと身近に知ってもらおうという本来の意義は薄れてしまいそうです。もっともそんな本来の意義があったのかどうかは疑わしく,ダムカードをまねて記載されている位置情報(秒の小数点一ケタまで!)など噴飯物の情報も麗々しく記載されている有様です。ダムカードをコンプリートしたという方と知り合ってお話を伺ったところ,ダムカードでは希少なカードがネットなどで売買されており,そうやって収集欲を満足させる輩やそれを利用してカードを小遣い稼ぎの手段にしている不心得者も横行していると,嘆いておられました。マンホールカードもいずれそういう事態を迎えることは(もうあるかも)不可避のような気がします。その土地土地で人々が慣れ親しんでいる風景や誇りに思っている事柄など,私の見たいメンテナンスホール(マンホール)はカードにはならずともまだ各地にたくさんあるので,そういうものを少しずつ見ていきたいと思う次第です。

 ところで私にとってもう一つの楽しみである灯台についても,灯台カードというものが誕生しました。話には聞いていたものの最近(2017年秋)山口の灯台を訪問した折に初めて出会って入手したのが六連島灯台のものです。

 もっともこちらは物理的なカードではなく,現地に掲示されたQRコードまたはURLからネットでカードのデータをダウンロードするというものなので,収集はできるけれども売買はできない仕様です。収集するにも場所をとらないという利点もあります。これは海上保安庁第7管区独自のサービスとして20カ所ほどの灯台で実施されているもので,山口の灯台巡りでは六連島灯台のほか,角島灯台虎ヶ埼灯台の灯台カードを入手できました。7管の20灯台のうち12基は訪問済みなのでカードのために再訪することはないと思いますが,未訪問の灯台もあるのでいずれ……と思っていたら,灯台巡りの写真を整理中に,次のようなニュースが飛び込んできました。

 上の画像クリックで全文を別窓拡大表示します。これを読むと2018年の灯台150周年を記念して150の灯台についてカードを作るということですが,おおよそは7管で現在行っているカードと同様の仕様と思われます。まだ構想中のようで2017年末時点で海保のHPには何も発表されていませんが,どんな灯台が選ばれるか150灯台の顔ぶれがおおいに気になるところです。
 灯台カードは海保の灯台への危機感を示しているのかもしれません。GPSなどの新しい機器の発達によって灯台不要論が囁かれる昨今,灯台への予算は厳しさを増す一方だと聞きました。そんな風潮の中で少しでも灯台のことを広く知ってもらいたいという気持ちの表われでしょうが,製作にあまり費用が掛からず在庫管理が不要なデジタルデータ方式のカードというのは,とてもいいアイデアだと思います。集める方にとっても物欲・所有欲からフリーでいられるし,保存場所も不要なのでとてもありがたい仕様です。

 ダムにしろメンテナンスホール(マンホール)にしろ,そして灯台にしても,すべて本来の役割があり,それらに惹かれるのはその社会的役割だったり機能を追求したところに生まれる美しさだったり,それにかかわる人々の精神性だったりもするわけです。無関心な人たちに関心を持ってもらうための努力は必要としても,本来のあり方を逸脱しては,かえって良識ある人々を遠ざけるのではないでしょうか。大体カードというものが収集欲(という物欲)を刺激し幼児性をむき出しにさせがちであることに意を用いて,低俗に阿ることなく格調高く知的であってほしいと思います。
 それにしてもここで取り上げた三つのカードはいずれも国交省がらみのものですが,経産省が乗り出して,国民の多くが反対しどう考えても高コストの原発を推進するために原発カードなんかを作り始めたらどうしましょう。

【追記】2018年10月1日から「灯台カードDigital」の提供が始まりました。開始の直前に訪問した能登半島の4灯台で情報を入手し,帰宅後それらのカードを無事入手したので,参考までに最初に情報を入手した【1101】福良灯台のカードを掲げておきます。

 他のカード類と違ってカードサイズではなく写真のL判でプリントすることが前提とされていて,また表面だけで裏面がないのが残念です。灯器のことや改修の履歴なども記載されていると嬉しかったと思います。とはいえ,現物での実現を希望されている方も多かったと思いますが,無事にデジタルで運用され,ほっとしています。よかった,よかった。