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みんな私が悪いのよ

 「山のカラスが黒いのも,郵便ポストが赤いのも,みんな私が悪いのよ」*1
 それでは赤くないポストがあるのは誰が悪いのでしょう。

 マンホール探しや灯台巡りをしていると,時々不思議なものに出会います。その一つがこれ,白いポストです。
 左は犬吠埼灯台の前にある有名な白ポストですが,稼働している白い丸ポスト*2は比較的珍しく他には同じ千葉県内(白井市)にもう1基あるだけ,ただし白い角ポストは幾つかあります(左は都内のビルの地下にあったもの)。さらに全国のローソン(ナチュラルローソン)の店内などには白い薄型のポストが設置されているケースが多数あります*3。そして白いポストがあれば黒いポストもあります。
 左は熊野大社の境内にある黒い丸ポストで「八咫ポスト」と書かれている通り,ポストの上に八咫烏のモニュメントが置かれています。黒い丸ポストも比較的珍しく,八咫ポスト以外に,大井川鐵道新金谷駅にSLポストがあるくらいです。右は横浜市内にある黒角ポストです。実はこれは濃紺だというのだけれど,どう見ても黒にしか見えないし,黒の角ポストは数が少ないのでこれで代用することにしましたが,少数ながら黒い角ポストというものもいくつかWEB*4に報告されているのでそれらに出会ったら取り換えることにしましょう。
 もっとも黒いポストというだけならば,日本の郵便制度が開始されたときに用いられた「書状集め箱」を象った復刻ポスト(左は三重県関宿にあったもの)やその次に現れた「黒塗柱箱」を模したもの(右は博物館明治村に移設保存されている宇治山田郵便局舎*5の前に設置されたもの)が旧宿場町や歴史博物館前など,また歴史にまつわる観光地などに多数設置されています。もっともこれらが郵便を投函できるポストだとはなかなか気が付かないで,当地を訪問しても通り過ぎてしまったこともたびたびでした。
 左は日向青島灯台を訪問した時出会った「幸せの黄色いポスト」です。調べてみると,「幸せの黄色いハンカチ」をもじった黄色いポストは全国各地にたくさんあります。丸ポストだけではなく,通常型のポストにも黄色いポストがありました(右は横浜市の住宅街のコンビニの前にあったもので少し薄い黄色です)。上に掲げた丸ポストも少しオレンジがかっていて宮崎の柑橘系に由来かと思ったのですが,蜜柑どころの和歌山(JR那智駅前)にはオレンジ色の丸ポストがあり,こっちは正真正銘の蜜柑由来だと思います。
 黄色と同じく観光資源だとか町興しだとか恥ずかしげもなく増殖しているのがピンクのポストで,たいがい「恋が叶うポスト」とかいうキャッチフレーズがついています。
 左は松江市内にある有名なピンクポストで,出雲大社に近いので縁結びのポストなのでしょう。右は因幡の白うさぎで有名な白兎神社の前にある角型のピンクポストで,その後ろにある案内板に近隣のピンクポストが紹介されてるように,鳥取にはピンクのポストが多くあります。札幌の「あいの里」郵便局前とか岩手の「恋し浜(小石浜)」駅前だとか智頭急行「恋山形」駅前(ここのポストは思いっきり恥ずかしい)だとか地名にまつわるピンク色が多いのですが,鹿児島のかのやばら園のものは「バラ色」,JR駒込駅前の角ポストは「さくら色」です。
 左は小豆島の灯台巡りで出会ったオリーブ色のポスト(道の駅「小豆島オリーブ公園」),右は東京の銀座にいくつかある深緑の角型ポストです。残念だったのは愛知県の灯台を巡っている時に西尾市に3基ある緑のポストを見かけたのだけれど写真に撮り損ねたことで,いつか彼の地を再訪することがあったら追加したいと思います。ここには角型として深緑を掲げましたが,いろいろの色合いの緑のポストがあるので,もし今後見かけることがあったらこれも追加したいと思います。
 色変わりでは茶色(左)とか灰色(右)とか,いろいろあります。宮城県大崎市古川駅前の「豊饒の黄金ポスト」とか海の駅九十九里の青い(ブルーの)ポストとか飛鳥寺境内の茶色の丸ポストとかは,いつの日か巡り合えることを願っています。
 色変わりといえばかつて青い(といっても微妙な青緑の)角型の速達専用のポストがありました。左は差出箱4号(一緒に設置されている赤いのは差出箱12号),右は差出箱特4号(一緒に設置されている赤いのは差出箱13号)で大きさに若干違いがありますが,いずれも(速達差し入れ口のある)通常のポストと並んで設置されており,その存在意義は今ではもうないといえるでしょう。いずれ消える運命ですが,何故か大阪には20カ所以上で生き延びているそうで,しかもそのうちのいくつかは青緑がかった東京のそれに比べ,はっきりと青,ないしブルーのものもあるので,いつか見てみたいと思います。
 色ばかりか素材にもいろいろ風変わりなポストがあって左は日本郵便の父前島密の墓所のある神奈川県横須賀市浄楽寺近くの「前島密翁顕彰ポスト」で御影石製と思われます。上部に密翁の胸像が乗っています。右は小田原にマンホールの採集に出かけたときに撮影した木製のポスト(愛称は小田原ひのきポスト,通常の1号に比べると少し背高のっぽで「差出箱1号」と分類されます)で,私製ポストですがちゃんと日本郵便によって1日2回収集されます。
 上に掲げた「八咫ポスト」や「前島密翁顕彰ポスト」もそうですがモニュメントを頭に載せているものも数多くあります。左は日本橋郵便局前の「郵便創業100年記念ポスト」で「前島翁ポスト」に似て上部のモニュメントに加えて本体も金属製の特殊型ですが,右は東京駅にあって差出箱13号の上にモニュメント(と下部にかざり)を付けたものです(そのほか鬼太郎とかいくつかは撮っていますが,日本全国で2〜300基はあるようです)。
 特殊なポストとしては変形(ハート型とかイカとかゆるキャラとか)や,絵柄がペイントされたものなどさまざまなジャンルがあり,それぞれ奥が深そうで,うっかり足を踏み入れるととんでもないことになりそうですから,これ以上深追いするのはやめておくのが吉です。

 灯台マニアが灯台に出会った時初点プレートを撮るように,ポストマニアはポストについている銘板(形式やメーカー名,納入日などが書かれている)を撮っては悦に入り情報を集積し,灯器を撮るように差し入れ口の写真を撮ってその大きさがどうとか庇の形がどうとか管を巻く研究するのがこの世界の作法のようです。マンホールや灯台を訪ね歩いたり,旅先で出会ったことどもについて調べていると,マニアの世界(いわゆる路上観察系が多い)と交錯することがあります。城郭マニアや鉄ちゃんなどメジャーなものから琺瑯看板,石橋,狛犬,穴あきブロック,廃墟廃屋,トンネル,飛び出し坊や,街角タイポグラフィ,顔嵌め,単管バリケード……今ではネットで簡単にその世界の一端を覗くことができますが,どの世界もマニアの闇は深いと言わざるを得ません*6

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*1 と記憶にあったのだけれど,オリジナルは「空があんなに青いのも 電信柱が高いのも 郵便ポストが赤いのも みんなあたしが悪いのよ」(柳亭痴楽「痴楽・つづり方教室」)らしい。ネットの解説を見ると,都々逸とか七五調とか書いてあるけれど,都々逸でも七五調でもなく,あまり語呂がよくないように思います。人口に膾炙しているのは師匠の話芸があってのことでしょう。

*2 ポストは正式には「郵便差出箱」といい,いわゆる丸ポストは郵便差出箱1号(丸形)という規格形式です。規格には1号から14号まであって1号と4号には2種類あるので実際は16種類,さらにそれぞれ細かいバリエーションがいろいろあります。ちなみに「白いポスト」でググると「悪書追放運動」なんかが出てきます。下記*4郵政博物館のHP(博物館ノート/郵政事業の変遷/郵便ポストの移り変わり)などを参照のこと。

*3 ひところコンビニでポストの設置競争があったようですが,今ではローソンだけのようで,ローソンに設置されている薄型のポストは「ローポスくん」と呼ぶそうです。通常は赤色ですが,ナチュラルローソンには多く白いものが設置され(下),稀にステンレス製の銀色や茶色のものなど店舗の雰囲気に合わせたバリエーションがあるそうです。

*4 ポストマニアが集う「ポストマップ|ポストをひたすらマッピング」というサイトがあって日本中(どころか海外も)のポストがマッピングされており,色や形ばかりか収集時間や担当局などあらゆる情報が集積されています。ここで賢しらに書いた事柄のほとんどはみんなこのサイトからの情報だし,ほかにもポスト関連サイトが多数あるので,10基や20基そこらのポストを紹介しても何の意味もないわけで,「こんなサイトがあります」の一言で済んでしまうことですが……。

*5 明治村の宇治山田郵便局舎は簡易郵便局として実際の郵便業務を行っています。また郵政資料館をも兼ねており,歴代のポストが並んでいるほか,貴重な郵政資料が展示されているそうです。実は明治村を訪問したのは,珍しい保存灯台を見に行ったので,ポストや郵便に興味があったわけではなく復刻版黒塗柱箱ポストの写真もたまたま建物と一緒に小さく写っていた不鮮明なものです。今回いろいろとポストのことを調べていて,2000基ほどピックアップしたなかに気が付かずに通り過ぎた訪問地がかなり含まれていますが,その中にたまさか珍しいポストが写っている場合もあって,われながらびっくりしています。

*6 名著『路上観察学入門』(ちくま文庫)を見よ。