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旧室蘭灯台(大黒島灯台)

2015/07/11

 北海道室蘭市の室蘭港の入口に大黒島という島があります。その島のてっぺんに灯台らしき建物があり,室蘭市の観光案内やその他のWEBの紹介では,「1887(明治24)年点火,1974(昭和49)年消灯」の「大黒島灯台」で,消灯後も市が管理保存しているが,一般人立ち入り禁止,との事でした。
 気になってちょっと調べてみたのですが,ここで利用させていただいたのが,国立国会図書館の「国立国会図書館デジタルコレクション」というもので,ここに古い灯台表がデジタル化されて公開されています。
 国会図書館の検索ページでキーワードに「灯台表」と入れて検索し,ヒットしたものの中で「国立国会図書館デジタルコレクション」と記載のあるものを選べばその内容を見ることができます(2017年2月1日久々に検索をかけてみたら,デジタルコレクションが大幅に拡充されている一方,最近のものは国会図書館か提携している公共図書館でしか閲覧できないものも多数含まれていました)。
 今回調べてみたのは,
・東洋燈台表 1908年明治41年調査(上巻)海軍省水路局
・日本燈台表 1930年(昭和5年5月改正)逓信省燈台局
・燈台表 第1巻 1949年(昭和24年)海上保安庁水路局
 の3種です。早速当該ページを掲げます。ただし原本の縦書きを横書きにしたり,表形式の区切りを/で表し,旧漢字で簡単に表示できないものは新漢字にしたりしています。

東洋燈台表 1908年明治41年調査(上巻)海軍省水路局

番号:198/地方:胆振/燈台通号:室蘭/設置之地:室蘭港口 大黒島/北緯:42 21/東経:140 56/燈数:1/燈質:白紅/燈質:不動/回転又ハ光ノ期間:−/晴天光達浬数:9/燈台形質:木造,六角形,黒白横線塗/高潮上燈火之高呎:134/礎上燈火之高呎:16/初点之年:明治二十四年/照光器及等級:−/記事:北三度西ヨリ北,東,南,西ヲ経テ北六〇度西ニ至ル間見ルヘシ 但シ南四四度東ヨリ(南二九度東)ニ至ル間ハ紅光ヲ以テ大根ヲ示ス 大根ハ燈台ヨリ北三七度一五分西ニ当リ相距七鏈ノ処ニアリテ礁上水深ハ大低潮ノ時三尋半ナリ 爆発霧中信号ヲ設ケ毎十分ニ一回爆発ス

日本燈台表 1930年(昭和5年5月改正)逓信省燈台局

41/名称:室蘭/種類:燈台 霧信号/位置:室蘭港口 大黒島/北緯:42°21′東経140°55′/初点年月:明治二十四年十一月/塗色及構造:白色 四角形 混凝土造/等級及燈質:第五等 明暗白光 明二秒暗二秒(紅光分弧)アセチリン瓦斯/明弧:全度/燈高(米)基礎上:9.1 平均水面上:45.8/燭光数:1 1/4/光達距離(浬):18.5/記事:霧笛 毎四十秒ヲ隔テ五秒吹鳴ス 一二六度(南四七度西)ヨリ一四一度(南三二度東)迄紅光ヲ以テ約三一五度(北三七度四一分西)距離約七鏈ノ大根礁(水深約六米四)ヲ示ス

燈台表第1巻 1949年(昭和24年)海上保安庁水路局

番号:1278/名称 種類:室蘭燈台(霧信号)/初点の年:明治24/位置 港口大黒島上 北緯:42 20.7 東経:140 55.9/燈質及び色:明暗白光(紅分弧) 周期:第4秒に1光,明2秒,暗2秒/燭光数(千単位):1 2/10(アセチレンガス燈) 等級:V/燈高 平均水面上(m):46/光達距離(M)18.5/構造及び高さ(m):白四角形コンクリート造 11/記事:分弧126〜141° 霧笛 毎45秒に1回吹鳴(吹鳴5秒,休鳴40秒)

長さの単位が,「浬」「呎」「尋」,「鏈」,「米」などが混用されているなど,表記の仕方が時代を反映していて興味が尽きないのですが,明治41年には「木造,六角形,黒白横線塗」だったものが,昭和5年には「白色 四角形 混凝土(コンクリート)造」になっていて,この間に改築されたことがわかります。少なくともこの3種の資料では,「大黒島灯台」と呼ばれたことはないので,現役中は「室蘭灯台」と呼ばれていたはずです。いつしかその名は忘れられたものと思いますが,「旧室蘭灯台」と呼ぶのが正しいのではないかと思う次第です。
昭和24年の「灯台表」はほぼ現在の記述法に近く,終戦直後にはこれだけ資料が整備されたものの,まだ灯火が「アセチレンガス灯」だったと知ると,感慨が深いものがあります。このころはまだ,灯台守の職員が常駐していたんでしょうね。
上記3種の資料は家庭のパソコンで見られて便利ですが,もう少し最近(10年前とか20年前とか)の灯台表は,国会図書館でもあまり収蔵されていないようです(追記:これも大幅に拡充され,実物がないものもデジタルによる収蔵が進められているようです。この記事を書いたのはほんの1年半ほど前のことなのに,すっかり様子が変わっていてびっくり)。いずれ気がかりな廃灯についてじっくりと調べてみたいと思っています。