ご存知，秋の七草の朝顔の花。草むらにこの花を見つけると大感激しますが，写真にしてみるとどうも間のぬけた花です。シソ科やマメ科のはなのように凝った形でもなく，キク科やユリ科のように豪華な花弁でもありません。折り紙の紙風船みたいなつぼみで，開いても一重のおとなしい花ですが，いかにも秋らしい風情が好まれるのでしょうか。
　野の花でも気軽に摘んできても心の痛まない花とどうも摘みにくい花がありますが，キキョウはやはり野に置きたいものです。

　奥に見えている黄色い花はオミナエシです。初めて野生のキキョウやオミナエシを見たときはびっくりして大感激でしたが，だんだん見かける数が減ってきたような気がします。

　その形が単純なせいで，文様に作りやすいのでしょう，桔梗紋という紋があります。明智光秀，太田道灌，加藤清正などいわくのありげな武将が用いたといいますが，紋になると一挙に格調高くなります。キキョウに限らず，あらゆる花が紋になっていて，蜻蛉紋や百足紋などの虫紋，雷紋や星紋，月紋などの自然紋，文字紋，道具紋など，故人のデザイン力には脱帽です。