都会で見るのはまず外来種のセイヨウタンポポですが，図鑑に従ってガクが反り返っているかどうか確かめてみると，さすがにわがテリトリーでは，時折在来種を見かけます。
　しかし，１年中どこでもかしこでも咲いているタンポポの花を一つ一つひっくり返して調べていたら，散歩もできないので，最近は気にしないことにして，全部タンポポで済ましています。

　かのエドガー・アラン・ポーが新婚のころ，貧しかった二人は庭のタンポポを摘んで食べていたそうです。比類ない天才を引き合いに出すのはおこがましいのですが，早春にタンポポのロゼットを摘んでサラダにすると，それは美味です。かすかな苦味がなんともいえない鮮烈さで，口中に広がります。１年中食べられますが，やはりゴールデンウイーク前の若葉のころが，葉も柔らかく食べやすいでしょう。
　花はてんぷらにします。春の小川にきらめく太陽の反射を口にするような趣がありますが，それはもっぱら食べるほうの思い込み，味のほうは，生で食べるときのような苦味は飛んでしまって，取り立てていうほどではありません。話のタネに，山菜の季節に少しばかり食べてみるといったものでしょう。

　タンポポという名前に子どものころからなじんでいるので，特に気にしなければなんでもありませんが，一旦気になるとなんとも不思議な名前です。日本語とは思われない音の連なり。漢字もテレビのクイズ番組に出題されそうな面妖な字ですが，漢方系の名前があるのでしょう。
　左の写真を撮ったとき，何らかの根拠があってエゾタンポポとしたのですが，どんな根拠か忘れてしまいました。

　同じく左は在来種であることを示すために下から撮っています。カントウタンポポとしておきます。

　物の本によると，タンポポの根をさいの目にして乾燥させ，焙煎してコーヒーの代用にしたそうです。「タンポポのお酒」ならぬタンポポコーヒーですが，一度試してみたいものです。日本という国も衰退が進んでいるので，いずれコーヒーなどという不要不急のものは輸入ができなくなる可能性が高く，そのときに備えようというわけです。